『PLANETS vol.10』刊行記念トークショー #PLANETS10 の感想と、インターネット上のヘイトの話とそれを逆手に取った広告キャンペーンの話

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タイトルは三部構成っぽいけど、2つの話。
でも、長め。

『PLANETS vol.10』刊行記念トークショー に行ってきた(2018/9/20)

このメンバーが凄い。
乙武洋匡×古川健介×前田裕二×箕輪厚介×宇野常寛×司会・吉田尚記 という豪華メンバー。

こういう人たちの対談が家から遠くない渋谷で、ちょっとした値段で聴くことができるというのは、あえて東京に住んでいることの魅力だなぁと改めて思った。

イベントの趣旨

タイトルにもあるように、宇野さんが『PLANETS vol.10』を刊行したことを記念しての集まり。
『PLANETS vol.10』のメインテーマは「遅いインターネット」。

遅いインターネットとはなにか?という部分が気になって聞きに行った部分はあるけど、簡単にまとめると下記。

フェイクニュースや炎上など、インターネットが速すぎて人を考えさせないようにしていたことが原因であり、その部分を変えるために宇野さんとして考えていること、また、そこに対して登壇者が考えていることをディスカッション(フリートーク)した感じ。

内容については、こちらBlogなどがうまくまとまっているので、見てもらえると。
【爆速成長期#5】PLANETS10刊行記念トークショー 『いま必要なのは、もっと「遅い」インターネットだ』に参加して、考えたこと

いくつか大事だなと思った点を。

プラットフォームの話

インターネットの世界において、GoogleやFacebookなどのプラットフォーマーへの絶対善だと勝手に思っていたけど、そういうわけではないというのが宇野さんの主張から分かって面白かったし、けんすうさんの、それでもプラットフォーマー的な考えで信じると良いはずという主張もまた、良かった。

プラットフォームは、人の快楽のポイントをうまく抑えているんだよなぁと再び思った。

自律分散型が資本主義に負ける話

自律分散型で、プラットフォームを用意すればあとは性善説でうまくいくと楽観的な立場で思っているけど、そうじゃないんだなぁ。

時価総額や資本主義的な観点で評価されると、そっちに負けてしまうのか・・
なるほど。

そのへんがユーザーの側からしたときの感覚とちょっと違ったので、そういう視点があるものかと再び思ったし、参考になった。

特に宇野さんはインターネット=Twitterとして語ることが前提になっていて、Twitterユーザーとしては分かる部分あるけど、僕の周りのほとんどの人はTwitterで発信はおろか、開いてさえいないという人も多く、そのへんの感覚の違いは大きそうだなと思った。

インターネットは閉ざされたものになってしまうのか

オンラインサロンや有料のメルマガが流行り始めて、合致する感覚。

無料で情報を発信する、のはもちろん見返り(=有名になる、アクセスを稼げる等)があるのだけど、それを上回るデメリットがあると、情報が閉鎖されたところにしか流れないよなぁというのはちょっと前から感じているところ。

いろいろな情報に触れることができて、オープンなインターネット最高だなと思っていたのにそこに水を差す流れはどうかなぁと思っていたけど、この対談でなんとなくそういう流れの裏にあるものが、分かった気がする。

孤独もつながりすぎも、よくない

これは、難しい。

自分でコントロールをうまくするというのは難しい気がするので、そういう状態のときにどういうメッセージを世間に出すべきか、どう関係を築くべきか、前提のヒントになった気がする。

ここから広告キャンペーンの話

で、いまのインターネット=Twitterという前提においては、誰もが発信できるのは良くなく、ヘイトが撒き散らされてしまうことへの対抗として宇野さんは新しいオンラインのコミュニティの形を模索するという趣旨だったのだけど、広告キャンペーンとして同じような場所への発信をしているなと思ったのをちょうど三つ見つけたので、モリモリになるけど共有。

1,NIKEの批判を覚悟で展開したキャンペーン

「人種差別への抗議のため国歌斉唱で立たなかったNFL選手」を広告起用でNIKEが炎上。信念を通す姿勢に共感の声も | ハーバービジネスオンライン
https://hbol.jp/174163?display=b

ナイキの広告で大論争、スニーカー燃やす人も… 人種差別に抗議した選手を起用
ttps://www.huffingtonpost.jp/2018/09/04/nike-kaepernick_a_23516091/

サンフランシスコ・フォーティーナイナーズに所属していたキャパニックは’16年のプレシーズンマッチでの国歌斉唱で起立せず、大バッシングを浴びた。国歌斉唱で起立しなかった選手は史上初めてだったという。起立しなかった理由について、キャパニックは有色人種への差別に対する抗議だと表明。’68年メキシコオリンピックで、表彰台の上で黒い手袋を突き上げた「ブラックパワー・サリュート」を彷彿とさせる抗議だ。

 この結果、シーズン前に行われたNFLのファン投票では「もっとも嫌われている選手」に選ばれてしまったキャパニック。しかし、内訳を見てみると、白人ファンの37%が「とても嫌い」と答えたいっぽうで、黒人ファンの42%が「とても好き」と回答。オバマ大統領も彼の行動を支持するなど、「Son of a Bitch」とまで言ったトランプ大統領を筆頭に極右・保守層からは叩かれたが、一躍マイノリティのヒーローとなった。

過激な反応が起きるいっぽうで、ナイキが「企業としての姿勢を打ち出した」ことに対しては、賛同の声が次々とあがっている。

「すべてを犠牲にすることになっても、何かを信じろ」

 そんなインパクト大のメッセージとともに、キャパニックの顔写真を使った「JUST DO IT」の30周年広告。キャパニック本人の生き方とナイキの企業としての姿勢を完璧に表したこの広告は、次の30年後も伝説として振り返られるはずだ。

規模の違う話であるが、国家レベルで議論を巻き起こし、人種差別というヘイトに対して企業としての姿勢を打ち出したNIKE。
最近、創業者フィル・ナイトの自伝「SHOE DOG」を読んだこともあり、このキャンペーンはさすがだなと思った。

2,渡辺直美とグッチ

グッチ尽くしの渡辺直美、世界規模の”大炎上”⇒「まだまだこれからよ」とハートマークで応戦
https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/17/naomi-watanabe-gucci_a_23529627/

これも同じような流れ。
ファッションモデル=痩せた体系であるべきという考えに対しての一石が、ヘイトを巻き込んだ議論を呼んでいるという話。

問題になったのは、グッチがInstagramに投稿した渡辺さんの写真だ。ジャケット、アクセサリーなど全身をグッチアイテムで固めた渡辺さんに対して、様々な国の言葉で渡辺さんへの誹謗中傷が相次ぎ、渡辺さん自身がのちに「クソデブ祭り」と称する事態に。「こんなひどいもの見たくない」「グッチのジョークだよね?」などのコメントや、豚の絵文字を使って、渡辺さんの体型をバカにするユーザーが相次いだ。

フランスでモデルの体型のフォトショップで補正をかけると罰せられるという(参考:商業写真でモデルの体型を加工したら…フランスで新法律が施行)、今の時代でまだこんな事を言っているのか・・と思うものの、そういうのが意見が自由に出てしまうのがインターネットなのだなぁ。

しかし、そのような負の部分があるものの、それによって発信をやめずに、正面から応える渡辺直美、すごいな。
これが若い日本の世代から生まれていることには、希望を感じる。

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@gucci 青山店リニューアルパーティーにお邪魔しました🙋‍♀️🌈 どんな体型でもファッションを楽しめる素敵な時代になりました🙌と思ったら @gucci 公式のインスタで私の写真が世界で大炎上😂クソデブ祭り😂痩せたモデルを出せ祭り😂フォロー外します祭り😂いい感じで盛り上がってます😂(興味ある方見てみて🤣) みんな私の魅力にびっくりした様子😘?まだ2%しか出してないのに痺れちゃったのね🤗まだまだこれからよ😂❤️🌈 GUCCIさんありがとうございます💖 #GUCCI #GUCCIAOYAMA #カッコ良い皆様と #マリネェさんかっこよすぎ #みんなにも自由に好きな事を楽しんでほしい🔥

渡辺直美さん(@watanabenaomi703)がシェアした投稿 –

1月にGAPの新商品のモデルに起用された際には、イギリス版VOGUEの取材に対して、以下のように語っていた。

「これまでファッションとは、痩せている人だけが楽しめるものだと思っていたし、ファッション業界からはそうしたメッセージが送られてきていたと思う」

「私は、大きめサイズの女の子の代表として選ばれたと思う。この動画を見た全ての人が、どんな体型でも自分の着たいものを着ていいんだと感じてくれると嬉しい」

3,むしろ逆手に取るDIESEL

「ヘイトなんて着ちらそう」。ディーゼルのHaute Coutureキャンペーンにクローズアップ | Wolves Magazine-ウルブスマガジン
https://thewolvesmagazine.com/haute-couture-diesel/

広告で主張する、議論を巻き起こす、毅然とした態度でのぞむ、の先をいくのが、このキャンペーン。

コレクションには、「Diesel is Dead」(DIESELは終わっている)や「Diesel is not cool anymore」(DIESELはもうダサい)などの文字が。実はこれ、DIESELがこれまでに受けてきた批判の数々だ。今回発表される『Haute Couture』のコレクションには、あえてこれらの批判がデザインに反映されたユニークな仕上がりになっている。

コレクションの販売による収益の一部は、社会不平等を再分散し世界の不利な地域や人々の持続可能な開発に貢献するという使命を持つ非営利団体である<Only The Brave Foundation>へ、ネットいじめ対策などのプログラムを支援するために寄付される。

ヘイトで浴びた言葉をそのまま服に印刷して、その言葉を浴びせられた有名人が来ちゃう。
オートクチュール(haute‐couture)をもじって、hate‐coutureにしちゃうのも、日本語で「着ちらそう」というコピーにしているのも、どっちもいいなぁ。

DIESEL HA(U)TE COUTURE - ヘイトなんて、着ちらそう。

というわけで、久々に長めになったけど、インターネット上のヘイトと、それをうまく逆手に取るというアイデアいいなと思ったというまとめ。

負の感情が流通しているのであれば、そこをアイデアで正にしていく、こういったことができる広告キャンペーンはいいなと思うし、広告というものが存在する価値の一つだなと、個人的に思っている部分です。

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