JリーグキックオフカンファレンスとNewspicksとのコラボ企画
キックオフカンファレンスというJリーグ開幕前恒例のイベントがあり、その日の夕方にNewspicksとの共催で一般向けに(正確にはNewspicksアカデミア会員向け)開催されていたコラボ企画に行ってきたので。そのメモに。会の概要はこちら。
毎年開幕前の2月に実施している、Jリーグ全クラブの選手や監督が集合した開幕前イベント「キックオフカンファレンス」
今回は「2018キックオフカンファレンス」の特別企画として、2018年のJリーグを主にビジネス的側面から深掘りするシンポジウムをNewsPicksとコラボレーションをして実施することが決定しました。
登壇者はJリーグの改革をリードしてきた村井満チェアマン、V・ファーレン長崎をJ1昇格に導いた「ジャパネットたかた」創業者の高田明氏、Jリーグアドバイザーでもある実業家の堀江貴文氏、新日本プロレスオーナーの木谷高明氏、川崎フロンターレ前社長の武田信平氏など、豪華登壇者がJリーグの未来について語り尽くします。
【登壇者】
村井満(Jリーグチェアマン)
堀江貴文(実業家)
高田明(「ジャパネットたかた」創業者/V・ファーレン長崎社長)
木谷高明(新日本プロレスオーナー/ブシロード取締役)
武田信平(川崎フロンターレ前社長)
第一部が、村井氏、堀江氏、高田氏の3名、第二部が村井氏、高田氏、木谷氏、武田氏の4名のパネルディスカッション。
90分×2という長丁場ということもあり、ほとんど第一部のまとめ。
Ⅰ | Jリーグの成長戦略
キーワードに挙げられていたのは、「OTTメディア」「スタジアム」「グローバル展開」「経営者」の4つ。
OTTメディア
OTTメディアという言葉自体を知らなかったけど、「Over-the-top」の略で、インターネット経由でのサービスが提供されるメディアのことを指すみたい。
Jリーグの場合は、当然DAZN。2017年シーズンより、10年間で2100億円という今までのスカパーの約4倍の金額で契約して、黒船と言われていたDAZN。では、この1年で何が変わったのかということについてのディスカッション。
DAZNと組んだメリット
「PERFORMグループから、いろいろなノウハウを得ている」のが大きいとの村井チェアマンのコメント。
DAZNで配信している映像の制作自体はJリーグがおこなっている。ここが大きなポイント。「お金以上に世界のフットボールが事業に入ってきたのが大きな成果。」らしい。
ジャパネットたかたは、高田社長が商品を一番知っているからスタジオを自前で持っている。それと同じで、Jリーグも自分たちで番組を制作してみると、自分たちが知っている魅力が沢山あると気づいた。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
魅力をより知るようになり、より発信しようとなった、とのこと。
DAZNのおかげで、今観たい!という欲求に応えられるようになった。複数デバイスで視聴できることが重要。いつでも、どこでも、何度でも見れるのがスポーツにとって大事な要素。
複数のデバイスで見る人は、54%。
実際、スカパーでもスカパーオンデマンドで複数デバイスで見ることができたけど、もっと気軽に見れる印象。
ドコモと組んだこともあり、契約回線数は100万を突破。
でも、もっと広めないといけない。
その時に、堀江氏と高田社長との間で話していて、Twitterで多くリツイートされたのがこの言葉。
高田社長「DAZNマネーは本当に大きい。ただ、DAZNをもっと広めるのは、家にwifiがないような家庭にも広める必要がある。
テレビとスティック型の端末と、ネット回線までジャパネットたかたでセットで売るしかない。」
#NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
そう、DAZNでいつでもどこでも見れるようになったとはいえ、高田社長からすると、そのセットアップがまた難しいんですよ、という話。
まあ高田社長が今までジャパネットたかたで相手にしてきた年齢層が、そのままこれからDAZNで獲得すべき年齢層ではないけど、もっと先のことを考えたら、そうだよなぁという発言だった。
スタジアム
スタジアム問題はだいたい既報の通り。
この壇上にいる長崎が思いっきり陸上競技場スタジアムなのと、北九州のミクスタが「J3なのにこんなに立派なスタジアムを」と紹介されていたのが心苦しかった(北九州はタイミング悪く降格しただけで・・)
そして、以前から堀江氏はいろいろなところで主張していたけど、下記のポイントを説明。
- 都心でのスタジアムの必要性。
堀江貴文「絶対にやってほしいのは、東京都心のスタジアム。ガンバのスタジアムも、吹田じゃなくて大阪駅前にしてほしかった。」
街中スタジアムは、代々木公園と新国立が候補かな。築地は無理そうだ。代々木公園は楽しみだなー。 #NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
これは大きく同意。
新国立が球技専用にオリンピック後に変更されるという話や、代々木公園に新スタジアムを設立する話が出てきている。
どちらも家から近いので、是非作って欲しい。ここにサッカーチーム来たら、ホーム試合は毎回見に行くかも。
【F東京】新スタジアムは代々木公園の自然と一体を目指す(報知新聞)
- スタジアムの稼働率を上げる経営、心理的障壁を下げる
例としてあがっていたのは、カシマスタジアム。
鹿島は指定管理者に指定されており、スタジアムを運営できる。
堀江貴文「スタジアムの一体経営ができるようになると、地方のスタジアムは採算が取れるようになるはず。
一般の人は、スタジアムに行くのは結界を感じている。 なので、鹿島は病院作ったり、マッサージできるようにしたり、心理的障壁を減らす仕掛けが重要。」 #NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
鹿島の取り組みについては、こちらを参照。
- 【史上初!】謎の建設物が明らかに…鹿島アントラーズが住民向けの診療所を開設(Naverまとめ)
- Jリーグで最先端をいく鹿島アントラーズのスタジアムビジネスとは(FOOTBALL ZONE)
- 速度6倍 ソニー、芝生育成早めるLED照明システム単一スタジアムでサッカー・ラグビー併催実現へ(SPORTS INNOVATORS)
スタジアムの収益率=稼働率の問題。そうなると、芝の問題に行き着く。芝の問題は面白いよなー。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
結局は芝なんですよ。その辺の取り組み、非常に面白い。
また、高田社長もドイツのクラブ(ドルトムント?)に非常に刺激を受けていたので、専スタ建設に向けて何かしらで動いてくれることに期待したい。
高田社長「スタジアムで最初から最後まで楽しむ仕組み作りが大事。投資の金額の問題は、解決しようと思えばやり方があるはず。ドイツのスタジアムのように、8万に入り、無料で入れるエリアもあったりするものをいつか作りたい。」 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
あと、完全民間のお金で出来ている吹田スタジアムは、行政のお金でないからこそ不公正な作りになっていて、良いらしい。
吹田スタジアムは、ホーム側とアウェイ側の差が激しい。行政のお金が入っていないからできる。
ロッカールームとゴール裏の作りで、明らかに差があるらしい。
#NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
ロッカールームはガンバ側は教会のようなドーム型の声が響く作り、アウェイ側は簡素なものらしい。面白いなぁ、そういうの。
グローバル展開
ここに関しても以前から言われているし、Jリーグも取り組んでいる東南アジア中心のアジア市場。
有望なのは分かっていたが、むしろ経済成長により後数年以内に各国のスター選手を呼んでこないと、もう日本に来ることはないだろう言うのが、そこまで来たのかと驚きだった(年俸的に自国の方が高くなる)
地域単位でアジアとつながるのは大事。水戸とベトナムがつながっている。物理的距離の近さは生かさないといけないので、アジアの選手はコスパでいうと獲得したほうがいい。
タイがプレミアリーグを見るのに、100億円払っている。昨年までJリーグの予算は130億円。 #NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
自国のスター選手がいたら、長崎に観光に行きたいとなってくる。しかし、自国の経済も立ち上がってきているので、アジアと言えどスター選手が採れなくなってくる。2,3年くらいしか猶予がない。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
J1の開幕戦でもタイの選手が活躍。今年はタイフィーバーがありそう。
ここの感覚は、日本人選手が出場している試合だから見ようと言う習慣を中田英寿以来20年くらい続けている日本人からすると非常に分かる話ではある。
経営者
ここは冒頭に話されたこの言葉が全てだった。ほんとそれ。こうなるとサッカー云々ではなく、すべてのビジネスにおいてここを大事にすべき、という話だった。
高田社長「ビジネスも、サッカーも同じなのは、理念がブレずにしっかりあるか。」そこは違うフィールドでも同じ。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
とはいえ、実際の収支としては厳しいものがあるというのはこぼしていたので、実際きついのであろう。これはサッカークラブの収益構造見ていれば外部でもそう思ってしまう。
サッカークラブの経営と民間企業の経営について。
高田社長「理念が大事ということで心配していなかったが、蓋をあけてみると収支の部分でかなり厳しかった。いかに魅力をどう伝えていくかということが大事。本当に応援したいという個人でも増やしていくのがあるのではないか。」#NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
あと、これは2部の話の中で出た話だが、この話は面白かった。
フロントと現場の信頼関係が、競技成績に因果関係があるかは、明らかに因果関係があるらしい。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
その他、2部はけっこう疲れてしまい、まばらにメモがなったけど、こういう話があった。
他のクラブの選手を獲るときは、代理人から現在の年俸が分かるので、そこにいかに上乗せするか。ただ、年俸だけではなく、フロンターレのサッカーをやりたい、という選手もいる。また、チームの中に競争したいしたくないという問題も絡んでくる。 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
フロンターレ前社長武田さん「クラブの広めていくというのは、政治活動に似ている。地元の会に何度も顔出ししていくのが大事。すると、本気だなと思ってもらえるようになる。市会議員と何度もいろいろな場所で会って、顔見知りになった。」 #NewsPicksアカデミア
— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
まとめ
というわけで、明らかに後半に失速してしまった部分あるけど、内容的にはほとんど知っている内容だったけど、改めて面白いカンファレンスだった。
ヨーロッパのサッカークラブ及びアメリカでのスポーツクラブなど、桁の違う成功をおさめているクラブがあり、日本もこれからスポーツビジネスがより発展していくと思うので、そのことを考えるきっかけとなってよかった。
最後に、この感想。
配られた冊子の中で、デロイトトーマツも、「Jリーグはベンチャー企業とのコラボレーションを積極的に検討してほしいと思う」とコメントしてる。
そして、2018年のデジタル戦略の鍵がパーソナライズ。これはKARTEしかない。#NewsPicksアカデミア— Takehiko Kawakubo (@kawatake) 2018年2月15日
積極的に、絡んでいきたい。
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