5月9日〜11日に沖縄の読谷村、残波岬にて開催されたマーケティングアジェンダ。
マーケティングに関わる宣伝部、マーケティング部の方々と、協業するパートナーが一堂に介する場。
公式サイトの紹介。
日本最高峰のマーケティングカンファレンスを目指して。
マーケティングアジェンダは、国内外のブランド企業のトップマーケッターが300人以上、集結する合宿形式のカンファレンスです。それぞれの業界の取り組みや課題解決に向けた方法を3泊4日で集中的にディスカッションし、刺激し合うことで仕事に役立つネットワークを深めます。
コミュニケーションを楽しむ場。
カンファレンスの4日間には、さまざまなプログラムが用意され、過密スケジュールです。「マーケティングの目的とは何か?」「結果を出すために必要な施策は?」など、百戦錬磨のマーケッターとのディスカッションやネットワーキングが、これまでの常識を覆すイマジネーションを生み出します。そのハードコミュニケーションを楽しんでください。
最高のパートナーに出会える場。
クライアントとパートナーが課題を共有し、一緒に悩み、成長できるパートナーシップのあり方を模索します。様々なビジネスマッチングの機会を生み出し、今後、何に取り組むべきか、新たな視座を発見できる場となります。
最前線で奮闘し、最先端を見続けている仲間と語り合うことで、これから先、取り組むべき道筋が把握できます。まさに、個人の能力を深化させていく場なのです。「カンファレンス」と「ネットワーキング」が高いレベルで両立したマーケティングアジェンダへの参加をぜひご検討ください。
そういうわけで、パートナーとしてKARTEの紹介のために行きつつも、マーケターに使ってもらうサービスとしてのKARTEを取り巻く環境の理解、そして今年はKARTEのマーケティングを本格的に推進していくにあたっての勉強のためという幾つかの理由のために参加。
せっかくなので、参加して思ったことの感想、メモを。
Keynoteならびに全体の流れ
初日のKeynoteは、「愛を叫べ、意味を創れ。」というテーマで、ドミノピザ執行役員CMO富永さん、エステー執行役員ECD鹿毛さん、元資生堂ジャパンCMO音部さん、吉野家戦略顧問伊東さんによるパネルディスカッション。
2日目のKeynoteは、「オムニチャネルの真実と、巨大流通に勝つ戦略」というテーマで、日本マクドナルド上席執行役員マーケティング本部長の足立さんをモデレーターに、元セブン&アイHLDGS.執行役員CIOの鈴木さんにオムニセブンについて聞くセッション。
3日目のKeynoteは、「What is innovation? Game changer team “Seem”.」というテーマで、フライシュマン・ヒラードの馬渕さん、リクルートコミュニケーションズ萩原さん、リクルートライフスタイル入澤さんによる、昨年のカンヌでモバイル部門グランプリを受賞したseemの話を聞くセッション。
内容の詳細に関しては、 Twitterの#マーケティングアジェンダ というタグを追いかけてもらうか、 @simakoo1さんによるこちらのまとめをどうぞ。
この3つのセッションとWrap Up以外は基本的にはパートナーのプレゼンタイムで、サービス等の紹介が行われる時間。
全体的な感想
テクノロジーがまだまだ力不足という現実
これは全体を通しての感想。
テクノロジー界隈、スタートアップ界隈に身を置いているとテクノロジーこそ全て、そうではないものはともすれば旧時代のものと勘違いしてしまうけれども、世の中含めてもちろんそういうわけではない。
今回のKeynoteでも2000年前後、もしくは2010年頃についての話をしている場面もあり、面白いと他の方々が言っているエピソードもあった。
「ブランドとは」という話であったり、「いかにブランドと生活者を結びつけるのか」みたいな話はテクノロジー云々の今現在の環境ではなく、いつの時代にも変わることがない根源的な部分で捉えないといけない部分であるというのを改めて認識。
とはいえ、大学の時に丸の内ブランドフォーラムにゼミ生として関わり、そのような講演を聞いていた身としては、その時代からの更新がないなとも感じてしまった。
そこで、そうなってしまう原因の何かということで一つあるのは、まだまだテクノロジーが力不足だということ。
テクノロジーができることの一例として、マスに対して闇雲にコミュニケーションを取るのではなく、一人のユーザーを把握し、過去の購入履歴に応じて個別のメッセージが送れる、Webの閲覧履歴に応じてオススメを変えることができる、といったことがマーケティングを変えるということはしばらく前から言われている感覚があるが、生活者として果たしてそれに動かされるほどの体験をしたことがあるか、というとそこまでではない。
おそらくマーケティングの施策を実行する側としても同じくで、そこに対してまだ従来のやり方を変えるほどの圧倒的な変化、及び効果を感じていないので、今回のカンファレンスではテクノロジーによる顧客体験についての言及が少なかったのかなと感じた。
つまり、中途半端なテクノロジーが「凄いですよ、これが未来ですよ」と大げさに言い続けた結果、「いや、そんなことないでしょ、今のところはやっぱり従来のやり方の方が効果あるよ」という感覚になっている方も多いのかなと思った。
それはそれで分かる部分ではあるし、「テクノロジーがまだまだ力不足という現実」が引き起こしていることなのかなと思った。
テクノロジーベンダー側は、その感覚を持った上でしっかりとブランド企業話をしないと齟齬が生まれやすそうだなと思った。
リアルとテクノロジーとがまだ断絶
これも上記に似ているが、オムニチャネル、オンライン/オフラインの垣根がなくなるといったことも以前からずっと話題にはあったことだが、イマイチ浸透しきれていない。
これにも「いろいろな壁」があって、テクノロジーがリアルの世界に染み出せていないということが原因なのかなと。
未来にはきっとそういう世界が来るはずだ、ただ現時点のテクノロジーや環境ではそこまでではないので、そこについて議論をするのはやめておこう、という印象。
この部分は、現在で来ていないことだとしても、マーケーターとしてそういう世界が来る時にどう考えるべきか、といったディスカッションがあってもいいかなと思った。
現にAmazonGOだったり、ZOZO SUITだったり、小売やオンライン/オンライン問わない顧客体験を変える未来についての話は最近良くでてきているので、もう少し言及/ディスカッションあっても良かったかなと思った。
どうあるべきか、の不在
そういったことを生み出す一因として、「どうあるべきか、の不在」があるかなと思った。
未来を生み出すサービスを提供しているパートナーからのプレゼンにおいては、「今後どうあるべきか、どうなるか」という視点を語ることが重要ではないかと感じた。
そのサービスを開発・運営している想いは何か、どういう未来を実現しようと思ってサービスを開発しているのかについて語ることにフォーカスを置いているパートナーが少なかったというのも全体を通してそういう印象につながったのかもしれない。
企業の立場であれば、目の前の課題を解決しないといけないというのは当たり前であるので、未来について考え、先に動けるのはパートナーサイドだと思う。
であれば、やはり我々がそこを真摯に考え、どうあるべきの自分たちの考えを示しつつ、ブランド企業の方々と議論を深めるべきだと感じた。
ブランドとパートナーの関係
そういった意味では、我々はサービスを提供するだけのベンダーではなく、「未来を一緒に生み出せるパートナー」であるべきだという思いを改めて思った。
単純にサービスを売り込んで、合宿形式の仲間意識からサービスを短期的に使ってもらうということをゴールにするべきではなく、自分たちの思想を伝える、そこに対してブランド企業からのフィードバックを得て、今後どうあるべきかの考えを更新していく。
そういった機会としてこういうカンファレンスはとても有用だと感じ、いろいろと考えた3日間だった。
その他、セッション中に思ったこと
バラバラと思ったことを再掲。
ブランドとは。ここは多様な議論あるよなー。個人的には、そのものでしかない、という認識。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月9日
ブランドって、そのものであり、一面でかっこよく見せても、裏側が見えてしまったらそういう見え方をしてしまう。
何かを切り取って見せることを「ブランディング」という言葉を使うのは違うと思っていて、「自分(ブランド)そのものとは何か?」の根底をしっかり定義して、どういう部分から納得感があるようにしていく、ということが「ブランディング」なのかなぁと思ったというメモ。
CMで商品名を連呼して覚えてもらうというのは昔からあった。消臭力のクリエイティブが良かったということもともかく、CMがまだターゲットにちゃんと効くということなんじゃないかなぁ。ネーミングとクリエイティブとメディア選定。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月9日
でもすぐに動かない商材の場合はどうするのか、どう捉えるのか。ブランドを創る、積み上げる、とは。数値化というと味気ないけど、その人とブランドとの結びつきがちゃんと分かるようになると生活者にとっても嬉しいんじゃないかなぁとはずっと思ってる。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月9日
CMにずっと関わってきた人間としては、CMの力をまだまだ信じているし、全否定されるとそんなことはないと言いたいのだけど、逆にここまでCMの話だけになるとまた違うポジションで何かを話したくもなる。
メッセージを個別最適をすることだけがCRMではない。個別に取ってるデータをどう活用するか、どう使うかの信念が経営者にないといけない。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月10日
日本のデジタルが進まない理由は、IT技術者が会社の中にあまりいない。SIerとか、外にいる場合がほとんど。中にそういうことができる人を育てていく。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月10日
カスタマーファーストとは、顧客第一の視点を持った社員や企業が業務に取り組むこと。経営企画部が考えたことは実行するだけではいけない。 #マーケティングアジェンダ
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月10日
リクルートって、出版ビジネスから新規事業で若手大活躍、みたいなイメージを昔は思っていたけど、今ではゴリゴリのテクノロジー企業になっているからその変化にここ数年驚いている。
詳しくは知らないが、この取り組みを推進できたのはそういう背景もあるのかな。
#マーケティングアジェンダ— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月11日
社会課題にマーケターとしてどう寄与できるか。
その点ではやはりカンヌとか世界のコミュニケーション周りの情報も昔なみにちゃんとキャッチアップしていかないとなぁと再び。— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月11日
カンヌ行きたいけど、まあまあコスト高いから、行かなくても発信、共有される情報をちゃんと取っていくの大事。
いや、行くとそこに没頭できるし、空気感じられるし、行けるなら行った方がいいと思うけど。 #マーケティングアジェンダ— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月11日
余談
経営者にはトライアスロンをやっていたり、日常的にジムに行き、自らを鍛えている人が多いというのはスタートアップ界隈ではよく聞く話ではあったけど、今回のマーケティングアジェンダに参加している執行役員、部長クラスの方々でも、(身体的な意味で)自らを鍛えている人が多く、追い込んでいるなぁと感じた。
ランニング、筋肉、どちらもまだまだ(そういう方々にとっては)若造な自分が甘すぎて、不摂生すぎるなと実際に体を動かす場面、サウナ/露天風呂等で思い知らされ、甘々すぎる自分について反省した。
もう少しまともな体つきになるように、銭湯で久々に体を見られた元同期に「ゆるゆるやなぁ!」と言われないように頑張らないとなぁと違うことにも意識がいった3日間。
刺激というのはどこでどういう場面で受けるかわからない。
そういえば嬉しかったこと
自社のプレゼン枠の最後に、先日作った動画を流してくれた。
そしたら、その後話した何名かの方から「あの動画良かった!」と言ってもらえたのは嬉しかった。
感動モノの動画を狙った作ったわけではないが、「泣きそうになった」というコメントを貰った時にはこちらが泣きそうになった。
クライアントに依頼されて作った動画がみんなに愛されるのもすごく嬉しかったけど、自分がクライアントとしてこうゆうのがあったらいい、あるべきと考えて動き、(ほぼ)勝手に作り上げた動画に対して、「泣いた、泣きそうになった」という声をもらえるのはこっちが泣きそうになる。
— Takehiko Kawakubo (銭湯マーケ) @KARTE (@kawatake) 2018年5月11日
オリオンビール飲みまくったのと、感銘受けた出会いもあり、良い沖縄体験だった。